職人母見参4
<もったいない台風>
濡れるのは嫌い。車も嫌い。


九州を襲った台風14号。
それは上陸翌日水曜の朝のこと。
ここ北関東では、
いかにも台風接近、といった
地面から揺さぶられるような風と
時々激しくなる雨が、
学校が休みにならない程度に荒れている空模様。

子供の登校時間だ。
ニュースで伝えられる被害に
少し心配に思いながらも
そこは妙に硬派な私、
”ずぶぬれ登校”も、大事な経験、
しっかり送り出そうと思っていました。

突風について、傘の扱い、増水した水路は怖いと言うこと
・・・そんな話をさりげなく折り込みつつ朝食終了、
さ、登校!と、なったところで!
一台の車が来ましたよ。
通学班の班長さんのお母さんです。
車に乗っけていくって。
「あ、ありがとうございます〜」

・・・・・なんだ・・・
この程度の冒険もさせられないのか・・
主婦のつきあい笑顔で送り出した後、
でっかい声で「もったいないな〜せっかくの台風なのに」
と、言っちゃいました。
夫も同感だったらしく、
「どんどん自然の変化に鈍感な人間が育つ、という訳だな」と
のたまっておりました。

ただ、この手の話、
すぐ”母親の過保護”とくくられてしまうので、
もう一つ付け加えておきます。

この辺は、三世代同居が多くて、
お母さん本人は違う考えを持っていても、
おばあちゃんや、おじいちゃんが、
”かわいそうだから、送っていってやろうか?”
なんて言い出しちゃったりして、
(話を切り出すときは、
自分がやる、という話で始まる)
嫁は、内心舌打ちをしながらも
”そうですね、私が行きます〜”
と、言わざるを得ない・・・
ってなことになっていることもあるとか・・ないとか・・


(2005.9.10)





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