菊畑周辺譚
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ほめるな。 |
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きれいに咲きそろった菊畑、
”きれいですね〜”
つい、声に出して、言いたくなっちゃう。
でも、ちょっと考えましょう。
花は、つぼみで出荷ですよね。
(花屋で買うときのことを思い出してください。)
つまり、綺麗に咲いているのは、
収穫できなかった分です。
ほかが忙しくて、手が回らなかったときはいいんです。
ほかで儲かってますから。
でも、雨が少なくて丈が短く、
市場に出してもいくらにもならない、とか、
(小菊でも80cmぐらいになるんです)
活けるには関係ないはずの、
葉っぱに雹で穴があいたから、だめとか、
いろんな理由で、
採算が合わずに収穫されないものもあるんです。
それが”きれい”に咲いているわけです。
無邪気にほめられないですよ。
花は、確かにきれいですし、
本当にきれいだと思うから、思わずでる言葉ですし、
みなさんベテランですから、”ほめられ”なれていて、
いちいち気を悪くしたり、説明したりはしないで、
ああ、欲しいのかな、もってくかい、と
温厚に対応してくださいますから、ますます気がつきません。
私と来たら、さらに気がつかない方なので、
何年もの間、ほめてました。(赤面)
虫がでれば、薬もまきます、
肥料も、消毒も食べ物ではないので、
(食べちゃだめですよ)
沢山使います。全部先行投資です。
ああ、それなのに!
今年はすべて、回収不能になってます、と、
びっしり咲いた花畑には書いてあるんです。
いちめんの菜の花、は、菜種油をとるためですから、
詩にしても誰も傷つきませんが、
一面のスプレー菊、とか一面の鶏頭、は、
この辺じゃかなり穏やかじゃない話なのですよ。
・・・・続く予定です。
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