中田舎暮らし3
<廓行事・ご出産>
産んだら捨てるな。


一人赤ん坊が生まれると、一歳になるまでの一年間で
廓のおばあちゃんが、のべ何人公式訪問するでしょうか。

ちょっと考えてくださいよ。

答え60人

内訳
  出産祝い    20人
  節句の祝い  20人 
  歳暮       20人

まず、生まれて一ヶ月がすぎる頃に、
出産祝いにきてくれます。20人にぐるぐる抱かれて、
いろいろ声をかけてもらいます。
(うちのはそれでもにこにこしている赤ん坊でした。)
このだっこしてもらう儀式は、とてもいいんですよ。

一度だっこした赤ちゃんを、おばあちゃんたちは
その後もずっと気にかけてくれます。
いつも畑でなんとなく見守っていてくれます。
悪さをすれば、しかってもくれますし、
危ないと思えば声をかけてくれます。
コミュニティーに新規加入するのに、
体を触れ合う機会を持つ、というのは
どの動物でもそうでしょう?

次にお節句。ここでは男も女も4月にするんです。
内、外それぞれの廓で、
お金を集めて人形を買い、
日を選んで持っていきます。

田舎町をドライブしていると、
さびれた感じの商店街にも人形店が必ずあります。
 潮汲みに藤娘、立雛、高砂、
桃太郎が兜を持ってポーズをつけていたり、
金太郎が鯉にまたがって滝登りしようとしていたり・・・といった
かわいい(?)日本人形が、
ガラスケースにはいってで積み上げられている、小さな店です。

誰がこんなの買うのかな〜(すみません)
ずーっと疑問に思ってました。
ここに住んでやっとでましたね、答え。

最後の歳暮。お歳暮?何で?と思われる方がほとんどでしょう。
この土地での歳暮は 
その年に生まれた子供の中で
長男だと破魔弓代・長女だと羽子板代、といって
どちらにしても500円(!)を祝儀袋に入れて、
20人みんなでぞろぞろと持ってきてくれるのです。 
初めて年神様に会う赤ちゃんのお守りでしょうか。
 
さて、この原稿を書いている2004年11月現在では
何人来てくれるでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・答え、4人。
ラクチンで少し寂しい現代社会です。



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