職人母見参8
< おひなさま >
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桃の節句がやってきた。
ところが、わが家のおひな様方はまだ箱の中におられる。
肝心の娘に出している時間がないのだ。
平日は共稼ぎのわが家、そんな時間はどこにもない。
本人も学童で遊び疲れてくったくた。
休日は休日で、友だちと遊ぶ約束を抱えてくる。
おひな様を出しましょう、という運びに、全くならない。
成長していけば、いつかは
面倒でださなくなるだろうと、思ってはいた、けれど、
こんなに早くその日が来るとは。
いいじゃないの。
子供が、友だちがよくて、外がよくて
泥だらけになって遊んでくるのだ。
金襴をまとって、鎮座するタイプの”幸せ”を、
誰も望んでいない。
毎日泥だらけのお手本は私だし・・・
おひな様にはお天気のいい日に
一度風を通して差し上げて、また箱にお戻り頂こう。
箱入りで、しとやかに座って過ごす、雛たちは
考えようによっては、
娘の身代わりになって”厄災”を引き受けているわけだ。
ホントに、ご苦労様です。おひな様。
(私と同い年で千代田区在住の
あるお方の顔がちら、と頭に浮かんだが、
・・・・・・!この項、終わり!)
(2006.3.3)
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